行政書士試験の直前期は何をする?本試験60日前からの総仕上げ計画

行政書士試験まで残り60日になると、「行政法をもう一度最初から読むべきか」「新しい予想問題集を買うべきか」「記述式や基礎知識へどこまで時間を使うか」と迷いやすくなります。残り期間が限られるほど、勉強量だけでなく優先順位が得点を左右します。

直前期に必要なのは、すべての範囲を同じ深さで学び直すことではありません。現在の得点を分析し、本試験で取る問題、短期間で改善できる問題、時間をかけすぎない問題を分け、知識を3時間の本試験で再現できる状態へ整えることです。

この記事では、行政書士試験60日前から前日までを5段階に分け、最初の得点診断、行政法・民法の総整理、過去問、記述式、基礎知識、模試、時間配分、毎週の進捗管理を具体的に解説します。

直前60日で行うこと

  • 本試験形式の演習で現在地を測る
  • 誤答を知識・混同・読み違い・時間不足に分ける
  • 短期間で改善しやすい基本問題から修正する
  • 行政法・民法を中心に、迷う論点を比較表へまとめる
  • 記述式と基礎知識を毎週の固定枠に入れる
  • 模試・年度別演習で解く順番と時間配分を決める
  • 最後の1週間は新しい範囲より再現性と体調を優先する

令和8年度行政書士試験の日程と合格基準

行政書士試験研究センターの公式案内によると、令和8年度行政書士試験は令和8年11月8日(日)午後1時から午後4時まで実施されます。集合時刻は午後0時20分で、午後0時30分から受験上の注意事項の説明が始まります。

令和8年度の試験案内では、法令等科目は46題、基礎知識科目は14題です。法令は令和8年4月1日現在施行されているものが出題対象とされています。

公式確認事項 令和8年度 直前期の準備
試験日 令和8年11月8日(日) 60日前から週単位の計画へ切り替える
集合時刻 午後0時20分 交通経路・所要時間を事前に確認する
試験時間 午後1時~午後4時 同じ時間帯に3時間演習を行う
法令基準日 令和8年4月1日現在施行 教材の年度・法改正対応を確認する

合格は総得点だけでは決まらない

令和8年度試験案内では、法令等科目が満点の50%以上、基礎知識科目が満点の40%以上、試験全体が満点の60%以上という3要件をすべて満たすことが合格基準です。試験問題の難易度を評価し、補正的措置を加える場合がある旨も示されています。

令和7年度の公表基準では、法令等122点以上、基礎知識24点以上、全体180点以上でした。これは令和7年度の確定基準であるため、令和8年度の最終的な公表内容は同センターの最新情報を確認してください。

直前期は「広げる勉強」から「得点を再現する勉強」へ変える

講義やテキストを一通り終えた後も、知識が得点へ変わるとは限りません。本試験では、60問を3時間で処理し、設問条件を読み、迷う選択肢を比較し、記述式の文章を作る必要があります。

学習時期 中心となる学習 確認基準
基礎期 講義・テキストで制度と論点を理解する 内容を説明できるか
演習期 過去問で正誤判断と根拠確認を行う 初見表現でも判断できるか
直前期 全科目を時間内で処理し、弱点だけ戻る 3時間で合格基準を安定して超えられるか

直前期の完成とは「すべて知っていること」ではない

基本問題を時間内に判断し、迷った問題を保留し、記述式と基礎知識を含めて必要点を積み上げられる状態が目標です。難問を一つ解けることより、基本問題の取りこぼしを減らすことを優先します。

60日前の初日に本試験形式で得点診断を行う

最初の週に、未使用の年度別問題または模試を3時間で解きます。途中でテキストを見ず、本試験と同じ条件で現在の得点、時間、集中力を測ります。

記録項目 記録内容 計画への反映
科目別得点 行政法、民法、憲法、商法・会社法、基礎法学、基礎知識 学習時間の配分を決める
問題形式 5肢択一、多肢選択、記述式 形式別の失点を特定する
確信度 根拠あり、二択、勘、未回答 正解に隠れた弱点も復習する
誤答原因 未学習、知識不足、混同、読み違い、時間不足 原因に合う練習へ変える
所要時間 科目・問題形式ごとの通過時刻 解答順序と上限時間を修正する

誤答は難易度より改善可能性で分ける

最優先

基本なのに落とした問題

知識の曖昧さ、主体・期間の混同、設問の読み違いを修正します。

次に優先

二択まで絞れた問題

判断を分ける要件・例外・判例の基準を比較します。

時間を限定

細部・未習の難問

基本問題の修正後に扱い、深追いする時間の上限を決めます。

本試験60日前からの5段階スケジュール

期間 主な目的 行うこと 完了基準
60~46日前 現状把握と優先順位 3時間演習、科目別・原因別分析、教材の絞り込み 毎週修正する論点と使う教材が決まる
45~31日前 基本論点の取りこぼし削減 行政法・民法のB・C問題、条文・判例、基礎知識、記述式 誤答理由と正しい規則を説明できる
30~15日前 本試験形式への統合 年度別・模試、解答順序、通過時刻、記述式答案 3時間内で全問題に触れ、基準を安定して超える
14~8日前 弱点の最終圧縮 誤答集、比較表、条文、記述語句、基礎知識の再テスト 確認対象が短時間で一巡できる量になる
7~1日前 再現性と体調の調整 既習事項の短時間確認、持ち物・経路、睡眠、生活時間 試験当日の行動と見る資料が固定される

日数は目安です。60日前の時点で基礎講義が残っている場合は、すべてを均等に終えるのではなく、行政法・民法の基本、基礎知識の科目基準、記述式の作成手順を優先し、本試験形式演習を並行します。

科目・論点の優先順位は4つの質問で決める

  1. 合格基準へ影響するか:法令等、基礎知識、全体のどの基準が不足しているかを確認します。
  2. 基本問題か:受験年度対応教材で基本・重要と位置付けられる問題を優先します。
  3. 短期間で改善できるか:用語の混同、条文の主体、読み違い、時間不足は修正候補です。
  4. 複数問題へ波及するか:制度全体の比較や解答手順など、他の問題にも使える学習を優先します。
優先度 対象 直前期の対応
A:毎日確認 基本なのに反復して間違える、合格基準へ直結する 短い再テストを毎日行う
B:週2~3回 二択で迷う、例外・主体・期間を混同する 比較表と類題で判断基準を固定する
C:週1回 根拠を持って正解できる基本論点 年度別演習で維持を確認する
D:深追いしない 細かな難問、一問だけに関係する未習事項 学習時間の上限を決める

行政法・民法は「迷った箇所」だけを比較する

直前期にテキストを最初から読み直すと、理解済みの範囲へも同じ時間を使います。過去問・模試で間違えた選択肢と迷った選択肢を入口にし、条文・判例・基本教材へ戻ります。

科目 総整理の軸 確認方法
行政法 主体、対象、期間、手続、原則・例外、救済手段 似た制度を横並びにし、違う一項目を説明する
民法 当事者、時系列、要件、第三者、対抗関係、法的効果 人物関係を図にし、誰が誰へ何を請求できるか答える
憲法 権利、審査基準、判例の事案・判断・結論、統治機構 判例の結論だけでなく事案との対応を確認する
商法・会社法 機関、決議、権限、期間、手続 基本事項へ範囲を絞り、主体の入れ替えを確認する

誤答ノートは一問一行に圧縮する

問題文と解説を全文書き写さず、「誤った判断」「正しい規則」「混同相手」「次回確認日」を一行で残します。本試験1週間前に短時間で一巡できない量なら、基本問題と反復誤答へ絞ります。

記述式は週単位ではなく毎日の短時間練習にする

記述式は、知識を覚えるだけでなく、問題文から論点・要件・事実・結論を取り出し、40字程度へまとめる練習が必要です。週末にまとめて答案を書くより、毎日または一日おきに短時間の固定枠を作ります。

  1. 設問把握:誰が、誰に対し、何を、どのように答えるか確認する
  2. 論点特定:問題文の特徴的な事実から制度・条文・判例を絞る
  3. 必要語句:主語、要件、当てはめ、法的効果を箇条書きにする
  4. 文章化:内容を決めた後に40字程度へ整える
  5. 書き直し:添削・解説の確認後、翌日に白紙から再現する

直前期の15分メニュー

設問分析3分、必要語句3分、答案作成5分、解説照合4分を一例にします。最初から模範解答を暗記せず、自分の失敗が論点・要件・当てはめ・文章化のどこかを記録します。

基礎知識は最低基準ぎりぎりを目標にしない

令和8年度の試験案内では、基礎知識は14題で、合格基準は満点の40%以上です。基礎知識の基準を下回ると、法令等と全体の基準を満たしても合格要件を満たせません。

分野 直前期の中心 確認方法
行政書士法等 業務、登録、義務・禁止、監督、組織 主体、要件、権限・義務、効果を比較する
個人情報保護 似た定義、取扱い、本人の関与、監督 用語を横並びにし、違いを一つ示す
情報通信 基本用語、目的、脅威と対策、デジタル行政 略語だけでなく利用場面と結び付ける
一般知識 政治・経済・社会の基礎と重要テーマ 範囲と時間の上限を決め、公的情報へ戻る
文章理解 要旨、空欄、整序の解答手順 正誤、根拠、解答時間を記録する

一般知識のニュースを無制限に増やさず、行政書士法等、個人情報保護、文章理解を含む複数分野に得点源を作ります。模試では最低基準より複数問の余裕を持つ学習目標を設定します。

模試・年度別演習は受けた回数より復習で使う

直前期に模試を連続して受けても、復習が追い付かなければ同じ原因で失点します。3時間演習の翌日以降に、原因分析と再テストの時間を確保します。

時期 行うこと 目的
実施当日 通過時刻、迷った問題、保留、集中力の変化を記録 得点以外の本番対応を測る
翌日 正解・不正解を確信度と原因で分類 優先して直す問題を選ぶ
2~3日後 条文・判例・教材へ戻り、全選択肢を修正 正しい判断基準を作る
1週間後 B・C問題と記述式を解説なしで再テスト 短期記憶ではなく再現性を確認する

時間配分は通過時刻で管理する

科目ごとの細かな予定時間だけでなく、「開始から何分でどの問題へ到達するか」「記述式へいつ着手するか」「見直し時間を何分残すか」を模試ごとに記録します。全員共通の最適順序はないため、複数の順番を試して得点と疲労を比較します。

仕事・大学と両立する1週間の学習例

次は平日に短時間、休日に本試験形式演習を行う例です。使える時間に合わせ、科目名より「弱点修正・再テスト・本番演習」の役割を残して調整します。

曜日 中心課題 短時間の固定課題
前週演習の行政法誤答を修正 記述式1問の設問分析
民法の当事者・時系列・要件を整理 文章理解1問
行政法・民法のB問題を再テスト 記述式の答案作成
行政書士法等・個人情報保護 誤答集10項目
憲法・商法等の基本問題と一週間の弱点 文章理解1問
3時間の年度別問題・模試 通過時刻と迷いを記録
模試の原因分析、条文・判例、翌週計画 記述式の書き直し

毎週見る数字は5つだけにする

  • 総得点と各科目基準
  • 行政法・民法の基本問題正答率
  • 基礎知識の正答数
  • 記述式で必要要素を入れられた問題数
  • 3時間で未着手・時間不足になった問題数

最後の1週間は確認対象を増やさない

本試験前の1週間は、大量の新規問題より、これまで間違えた基本論点を短時間で再現できるか確認します。3時間演習を行う場合は、復習と体調回復に必要な日数も考えます。

確認対象 行うこと
誤答集・比較表 基本問題、繰り返す混同、期間・主体・例外へ絞る
記述式 論点特定から答案作成までの手順と頻出する自分の失敗を確認
基礎知識 行政書士法等、個人情報保護、情報用語、文章理解の手順を確認
試験運用 解く順番、通過時刻、保留・見直しの印を固定する
生活・準備 受験票、公式案内、持ち物、経路、起床・就寝時刻を確認する

行政書士試験の直前期に避けたい10の行動

  1. 得点分析をせず、全科目を最初から学び直す
  2. 不安になるたびに新しい教材・講座を追加する
  3. 難問へ時間を使い、基本問題の迷いを放置する
  4. 過去問の正解番号だけを覚える
  5. 模試を受け続け、原因分析と再テストをしない
  6. 記述式を模範解答の暗記だけで済ませる
  7. 基礎知識を一般知識のニュースだけで対策する
  8. 本試験の解答順序と通過時刻を決めない
  9. 睡眠時間を削り、学習時間だけを増やす
  10. 古い教材の結論を受験年度の法令として覚える

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行政書士試験の直前期でよくある質問

行政書士試験60日前には何をすべきですか?

まず本試験形式の問題を3時間で解き、科目別得点、確信度、誤答原因、所要時間を分析します。その結果から基本問題の取りこぼし、記述式、基礎知識、時間配分を優先して修正します。

直前期に新しい問題集を買うべきですか?

現在の教材に問題不足や年度対応上の問題がなければ、まず既存教材の不安定問題を再テストします。新教材を使う場合は目的、扱う範囲、復習時間を先に決めてください。

直前期の模試は何回受ければよいですか?

回数だけの正解はありません。一回ごとに原因分析、条文・判例への確認、記述式の書き直し、1週間後の再テストを行える回数にします。

模試が合格点へ届いていなくても間に合いますか?

不足点だけで判断せず、基本問題の取りこぼし、二択、記述式の必要要素、基礎知識、時間不足の内訳を確認します。短期間で改善可能な失点から優先順位を付けます。

本試験1週間前も3時間の問題演習をしますか?

実施する場合は復習と体調回復の日数を確保します。最後の1週間は新規問題を増やすより、誤答集、比較表、記述式の手順、基礎知識、解答順序を短時間で再現できるか確認します。

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まとめ

行政書士試験60日前からは、学習範囲を広げるより、本試験形式の得点診断から優先順位を決めます。基本問題の取りこぼし、二択で迷う論点、記述式の答案作成、基礎知識の科目基準、3時間の時間配分を順番に修正してください。

60~46日前は分析、45~31日前は基本論点の修正、30~15日前は本試験形式への統合、14~8日前は弱点の圧縮、最後の1週間は再現性と体調の調整へ移ります。毎週、総得点だけでなく誤答原因と未着手問題を確認し、本番で取るべき問題を確実に得点できる状態へ仕上げましょう。

参考文献・一次情報

著書・教材紹介

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執筆・監修
川元先生

Lex行政書士予備校 講師。長年にわたりマンツーマン指導に携わり、受講生一人ひとりの状況や課題に合わせた学習支援を行っています。理解度や学習時間を踏まえた、きめ細かな個別指導には定評があります。

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